2015年2月19日木曜日

【書評】インターネットが普及したら、ぼくたちが原始人に戻っちゃったわけ

丸の内の丸善で見かけて、タイトルが面白くて手にとった一冊。

インターネットが普及したら、ぼくたちが原始人に戻っちゃったわけインターネットが普及したら、ぼくたちが原始人に戻っちゃったわけ
(2015/01/24)
小林弘人、柳瀬博一 他

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あの「フリー」「シェア」「メイカーズ」を手がけた小林弘人さんの新刊なので、面白くないわけがない!と思ってはいたものの、想像以上に面白く、参考になりました。大企業にいる人も、スタートアップにいる人も、ここ最近のビジネストレンドを把握するのに、もってこいの一冊だと思います。

まずは、Amazonからの内容紹介を引用します。

ウェブとSNSの発達で、いまや世界は「150人の村」になり、われわれは原始人に戻った?
こんな大胆な仮説のもと、〈原始時代2.0〉におけるビジネスの新常識を、インフォバーンCo-CEOの小林弘人と、日経ビジネス プロデューサーの柳瀬博一がレクチャー。
フリー、シェア、メーカーズ…その先にあるものは?これからのIT社会のトレンドがわかる、メディア、広告、マーケティング関係者必読の、新世紀ビジネスモデル進化論。

赤ペン引いた箇所がめちゃくちゃ沢山あるんですが、今日は、「企業のオウンドメディアと共創」について書きたいと思います。


 企業のオウンドメディアと共創

ここ数年、企業自ら保有・運営する「オウンドメディア」が注目されていますが、その先端事例などについて対談されています。

小林:「無印良品」を販売している良品計画の「くらしの良品研究所」といったオウンドメディアはユーザー・コミュニティがきちんと組成されている印象。海外の事例などを含めて見た場合でも、良品計画のやっていることは結構先進的だと思う。昔から、わたしはコミュニティを組成することまでがメディアの役割だと言ってきたけれど、まさにそれを地でいっている。

柳瀬:具体的にどんなことをやっているの?

小林:「くらしの良品研究所」は、ユーザーと一緒に商品開発していたりするの。たとえば、真夏に麦わら帽子を被った時、汗が額にたまるので「そこに汗拭き的な生地があったほうがいいんじゃないか」とか、「ユーザーから声が出るじゃない。すると開発者が「分かりました」「来年の夏までに作りましょう」みたいな形での意見交換がなされ、しかもそのやり取りが劇場型になっていてメディア化されているわけ。

この他、国内の事例として、日本コカ・コーラの「コカ・コーラ・パーク」、資生堂の「beauty & co.」、花王の「マイカジスタイル」、IBMの「∞(無限大)」、富士通の「あしたのコミュニティラボ」、が紹介されています。
また、海外事例としては、フィアットが2010年にブラジルで行った、コンセプトカーの共創(コ・クリエーション)について紹介されてます。

小林:で、共創のメディア化で自分が注目する事例が、イタリアのフィアットという自動車会社。これはフィアット・ブラジルがやったんだけど、2010年にサンパウロ自動車ショーでフィアット・ミオというコンセプトカーを発表したのだけど、このミオを約1年間かけて、ユーザーと一緒にウェブ上で作ってきたの。
ユーザーから意見やアイデアを求めて、それらに対して開発陣が「ああでもない、こうでもない」と。その過程も全部メディア化してしまって、しかもそこのメディアに行くと、そこで「撮られている写真とかアイデアは勝手に使っていいよ」ということで、全部クリエイティブ・コモンズ・ライセンスが付与されていて、レギュレーションに従えばフリーで使える。

(中略)

柳瀬:商品開発の「手助け」をした人は、その商品が世に出たら、たぶん買う可能性が高いだろうなあ。俺が手伝った商品だぜ、と。

小林:で、言わばそこがマーケティングの部分なのね。どこからがPRで、どこからがメディアで、どこからが広告で、どこからが共創なのか、境界が消えてそこでは全部融合しているわけ。

このフィアットの事例は、商品開発や研究開発をしている人にとって、非常に重要な示唆ではないかと思います。こうした「R&Dのメディア化」というのは、非常に重要な視点だと思います。
大企業では実現が難しい部分もありますし、商品や業界によっては相性もあるかと思いますが、特に一般ユーザーが使う商品などを扱っている企業は、こういった活動の取り込みを考えても面白いと思います。


 なぜ共創が上手くいかないのか?

が、こういう話をすると、社内では「客に聞いたって意味がない」といった声がでてきそうですが、そういった話についても、このように語られています。

柳瀬:先ほどの話題の繰り返しになるけれど、消費者に近いという意味では、日常的に使っている家電業界なんか、もっともっとコ・クリエーションをやったらいいんじゃないかと思うけど、なかなかうまくできない?

小林:そういった提案をメーカーの開発者にすると「素人からいい意見なんか出ない」って言われちゃうの。それって旧式のメディア企業の方たちが「素人に記事なんか書けるわけねえだろ」って言う理屈と、ほぼ一緒。

柳瀬:発想がそこで止まっちゃっているわけね。

小林:全部任せようとするから、その発想なわけ。本当は「消費者から気付きをもらうテクニック」があるの。どうやって巻き込んでいくかというと、それこそモデレーション(議論の流れをコントロールすること)のやり方次第だよね。そういうマネージメントツールやサービスもたくさん出ていて、オープン・イノベーション・マネージメントツールとか呼ばれている。複数のユーザーからアイデアを吸い上げていって、それをどうやってエスカレーションしていくか-「第一フェーズから第二フェーズに上げていくか」とか-、そういう方法論とそれに伴ったツールの使い方で重要なことは、あくまで聞き手の「受信力」だよ

うーん、確かにその通り。何事も、最初から否定するのではなく、やりながらどう対応していくか、が重要ですよね。

BBTの卒業研究でも、新事業の検討前には、想定顧客にインタビューしますし、事業内容をいったん固めたあとも、顧客インタビューをすることで、ブラッシュアップしたり、ピボット(方向転換)したりします。この顧客の声を聞く仮説検証フェーズの重要性は、講義などでも強調されます。これがないと、説得力のある提案にならないんですよね。
私も、提案した事業について、1週間かけてデモサイトをつくって、インタビュー&アンケートを実施しましたが、想定顧客からの生の声は本当に参考になりました。
こういう人にニーズがあるのか!意外とこういうニーズがあるのか!といったことも分かりますし。

一度、この流れを経験してみると、顧客の声なしに研究開発をすることは考えられなくなります。
なんで、今まで自分の会社の事業提案で、こういうステップをやってこなかったんだろう?と思いました。

また、どういうユーザーを探せばいいのか?という疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。
この点、もちろんセグメンテーションやターゲティングも重要なのですが、私は「この商品・サービスが絶対欲しい!」と思ってくれるユーザーを探すことが重要だと考えています。
プロトタイプを見せていって、熱狂的になってくれる人を探す。そして、その人になぜ使いたいと思ったのか、聞いていく。
目の前の1人を熱狂させることができれば、あとは、それが欲しいお客さんが他にいないか探しつつ、その熱をどうやって広げていくか、というステップに移ればいいのではないか、と考えています。

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