2010年7月29日木曜日

今、吉野家の社長は何を思うのか?

7月26日(月)、東京理科大学MOTの公開授業を受講してきました。
講義名は技術系経営者論A (講師:松島茂教授)。
特別講師がなんと、株式会社吉野家ホールディングス代表取締役社長、安部修仁氏。
テーマは、「イノベーションを生むマネジメント」。

<安部社長プロフィール>
 1949年生まれ。福岡県香椎工業高校卒業後、ミュージシャンを志して上京。
 アルバイトがきっかけで、72年吉野家に入社。80年の倒産後、再建に尽力。
 営業部長などを経て、90年に代表取締役常務、92年より現職。


丁度、牛丼の値下げ競争が激化し、業績も芳しくない中での安部社長のご登壇。
どんなお話が聞けるのか、非常に楽しみにしておりました。

授業の流れとしては、前半90分が安部社長のお話で、残り90分が質疑応答を交えたディスカッション。
安部社長のお話の大まかな内容は、下記の通り。

 ●吉野家の概要、歴史
 ●吉野家のビジネスモデルについて
 ●1980年の倒産、2001年の価格改定、2003年のBSE問題の時の話
 ●経営をする中で学んだこと
 ●現在の置かれている状況と今後の取り組みについて


吉野家の商品へのこだわり、ロジカルに緻密に組み立てられたビジネスモデルや
データベースマネジメントなど、非常に参考になるお話がたくさんありました。
特に、1980年の倒産からの復活劇や、2001年の価格改定時の目標設定の話、
さらに2003年のBSE問題の話は、突然メニューがなくなるという状況が
如何に衝撃的な出来事だったのかなど、本当に貴重お話をお聞きすることができました。

しかしながら、何より印象に残ったのは安部社長の経営に対する考え方でした。
その考え方・姿勢こそが、まさに一流の経営者であり、今日の吉野家を創り上げた原動力なのだと思いました。
安部社長のお言葉を一部紹介します。

 「(BSE問題などで経営が)うまくいかない外部因子は確かにある。
  ただしそれはきっかけにすぎません。企業が潰れる原因ではない。
  企業が潰れる時は、実は内部崩壊なんです。」
 
 「トップに必要なのはビジョン」

 「目標設定は、クリアーに、高く、数値で分かるように、定量的・定性的に」

やはり、長年社長を努め、何度も危機を乗り越えてきた安部社長のお言葉は重みが違います。
リーダーがすべきは、やはりビジョンと目標設定。
これは、伝説の外資系トップである新将命さんもご著書で仰っていることです。
会社の規模やチームの大小に関わらずこの2つは必要ですよね。
心にしっかりと刻んでおこうと思います。

また、松島教授が安部社長の講義についてのコメントも勉強になりました。

「安部社長にとって、マネジメントとはルーティンであり、イノベーションとはルーティンを離れることだ」

確かに、マネジメントだけではイノベーションは生まれません。
イノベーションを生むために、如何にルーティンから離れて考えることができるか。
GEのストレッチ目標というのもルーティンを離れるためにやっている事かもしれません。

ルーティンを離れる。
これは人にとって最も難しいことです。
人間は基本的に変化を嫌うからです。

ルーティンを離れることをルーティンにするには、意識付けが必要です。
いつも行かない場所に行き、普段手に取らない本を読み、普段食べないものを食べる。
こういうちょっとした変化を重ねることが、大事な事だと思っています。

リーダーとしての考え方・姿勢、そしてイノベーションへのヒント。
たった3時間で非常に多くの学びを得ることができました。
またMOTを受講されている方々の熱気を感じ、大きな刺激となりました。
授業料と時間と家族の同意という制約があり、受講を真剣に考えていなかったのですが、
正直言って受講したくなりました。やっぱり、ライブは違いますね。


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