BBT-MBAのメインコンテンツでもあるRTOCS(Real Time Online Case Study)。
どのMBAスクールでもケーススタディで学ぶことは多いと思いますが、BBTでは過去のケースではなく、「現実の企業が今まさに直面している問題が対象となって出題」されます(下記サイト参考)。
[教えて大前先生] RTOCS :プレジデントオンライン
http://president.jp/articles/-/9893
私は在学中、このRTOCSに最も力を入れ、結果として良い成績を頂くこともできました。
BBT入学を検討されている方、またBBT入学したけどRTOCSの進め方がイマイチ上手くいかない、という方の参考になればと思い、私なりのRTOCSの取り組み方について、書いてみたいと思います。
RTOCSの基本的な進め方(あくまで私の場合)
ケースの題材は、政治家や自治体、上場企業にベンチャー企業と様々ですので、困惑される方も多いのではないかと思います。ただ、どんなケースであれ、基本的にはPSA(Problem Solving Approach)の手法で進めることが、一番良いんじゃないかと思います。
私は、このPSAの基本を常に意識しつつ、他の教科で学んだことを使いながら、RTOCSに取り組んでいました。
私は、企業のケースの場合、基本的には下記の流れで進めていました。
①リサーチ
- 何はともあれ、ウェブサイトから何やってる会社か掴む
- 東洋経済の業界地図を読む(業界を俯瞰するのに、かなり重宝します。最新版を毎年購入)
- SPEEDA(有料データベース。BBTに入学すると無料で使える。)で、財務データ、競合データ市場データを一通り入手し、財務ツリーなどチャート作成。
- その会社の有価証券報告書をざっと読む。
- その市場について把握する。Google検索でpdfを指定して、レポート抽出。使えそうな情報、チャートをチェック。また、日経ビジネスやダイヤモンド、東洋経済などのWEB記事を検索。
- 競合の記事も、ざーーーーっとWEBで探して読んでいく。
- 分かったことは都度チャートを作成し、適宜AirCampusに発言と共にアップしていく。
- クラスメイトと議論しながら、新たなチャートを作ったり、自分のチャートへの突っ込みやフィードバックをもらいながら、分析を深めていく。
②本質的問題の発見
- 3C分析の結果をチャートにまとめてみて、過不足ないか確認する。
- 3C分析を踏まえ、本質的問題は何かを明確にする。
- 文書がイマイチしっくりこない場合は、それぞれの分析や分析の「ヘッドメッセージ」を見直す。
③方向性の決定
- 本質的問題を踏まえ、その企業が取るべき方向性を検討していく
- 中長期の大きな構想を考えつつ、短期的かつ具体的な打ち手の両方を検討する。
- 方策検討はケースによってバラバラだが、基本的には大きな方向性からツリー展開して検討
- M&A を打ち手とする場合には、バランスシートおよびキャッシュフローを見て、実現性をチェック
- 打ち手検討にあたっては、社長の現状の立場や状況は考慮するが、性格や好みは無視。あくまで「自分だったら、どうするか?」なので。
④結論提出およびディスカッション
- そのケースに対する結論を提出(チームなどはなく、個人で実施します)。
- 結論には、結論サマリーに加え、本質的問題と打ち手の方向性についてコンパクトに記載(文章長すぎると、クラスメイトが読むのが大変なので、読みやすくなるように配慮)。
- 作成した資料は、とりまとめて添付。
- 出した結論に対する質問やツッコミを受けて回答しつつ、クラスメイトにも質問およびツッコミ。
⑤学長結論の視聴と振り返り
- 当日夜に配信される大前研一ライブにて、学長結論を視聴。
- 学長結論を視聴した上で、気づいたこと、反省点などを振り返り(これも発言します)。
- 反省は常に、3つの視点(リサーチの過不足、本質的問題の差異、打ち手の考え方の差異)でチェック。
- 特に、リサーチと本質的問題の差異については、どのプロセスが分かれ目だったのかを、具体的に明らかにする。自分が考えた本質的問題が、明らかにズレている場合は、猛反省。
- 打ち手についての差異は、好き嫌いもあるので、一喜一憂しすぎない(あくまで学長結論はひとつの「解答例」であって、「正解」というわけではないので)。
- ただし、学長の打ち手はかなり斬新な発想が多いので、それを自分のアタマの中にストックしていくようにする(パクる)。
重要なのは、「本質的問題」を発見できるか?
全体として注意すべきなのは、本質的問題についてまとめず、リサーチからいきなり打ち手に進んでしまうこと。これ、意外なんですが、やってしまいがちです。
どんなケースであれ、「本質的問題」を発見することが、とにかく重要です。本質的問題がズレてしまうと、一見、斬新で良さそうな打ち手も、効果を発揮しないからです。ですので、上記振り返りでは、特に本質的問題の差異にフォーカスしていました。
私の場合、こうした振り返りが良かったのか、2年次のRTOCSでは、「本質的問題」はほぼ正確に捉えられるようになりました。学長案が全て正しいわけではないのでしょうが、思考プロセスが学長と同じようなプロセスになっていると、自分の思考レベルが向上していると実感することができます。こういった点は、学びへのモチベーションを維持する上で、非常に重要なことだと考えています。
スケジュールについて
スケジュールについてですが、理想は③まで平日に出来ればいいのですが、私は無理でした 。
私の場合、①の分析チャートを平日にちょこちょこ作りつつ、不足分を土曜日中にやってました。時には日曜日になることも。
そして②の本質的問題の発見を、なるべく日曜日の朝イチには作り、③の打ち手の方向性について日曜日の午前中に検討して、結論提出。その後、④のディスカッション、というスケジュール感でやってました。
そして、日曜日の22時30分には大前研一ライブが配信されるので、元気な時はRTOCSの学長結論だけ見てから寝る、という生活をしていました。⑤の振り返りは、つい後回しにしがちなのですが、RTOCSにおいて最も重要な点ですので、なるべく月曜日中にやるようにしていました(毎週改善していかないと意味がないので)。
自分の「型」を見つけることが大事
今回紹介したやり方は、あくまで私のやり方であって、これが合わない人もいるかと思いますし、この通りにやればOKというわけではありませんので、ご注意ください。
何よりも、試行錯誤しながら、自分なりの「型」を見つけることが大事ではないか、と思います。
また、在学中に作成したRTOCSの資料を見たい!というリクエストを受けることがあるので、別途公開し解説させて頂こうかと思っています。